「前歯が折れてしまい、歯科医院で“抜歯しかありません”と言われました。本当に抜かないといけないのでしょうか?」
5年前、50代の女性がセカンドオピニオンとして来院されました。前歯の抜歯は見た目や会話、食事に直結するため、強い不安を感じやすい状況です。
初診時の状態と診断

前医では「歯が横に割れているため抜歯」と診断されていました。
当院で精査したところ、レントゲン上で横方向の破折線は確認できるものの、膿の広がりや大きな骨吸収は認められず、保存の可能性がある状態でした。
また、見た目は整っているように見えても、奥歯のかみ合わせが崩れており、前歯に過大な力が集中している所見がありました。
治療方針と選択肢

本症例では「折れた歯だけを治す」ではなく、なぜ折れたのかを重視しました。
転倒などの外傷ではなく、過去の矯正治療後のかみ合わせの変化により、奥歯で支える力が弱くなり、前歯に負担が集中したことが破折につながった可能性が考えられました。
そのため、
• 抜歯して欠損補綴(インプラント/ブリッジ/入れ歯)へ進む選択肢
• 保存の可能性がある場合は、前歯の補綴に加えて奥歯の咬合を整え、前歯にかかる力を減らす選択肢
を比較し、総合的に判断しました。
実施した治療内容
当院の「抜歯の基準」として、膿の有無、全身疾患や服薬状況、年齢や生活背景、メンテナンスへの協力度などを総合的に考慮しています。

今回の患者さんは、
• 破折はあるが膿がない
• 全身疾患がなく、抜歯後リスクを高める服薬もない
• 定期メンテナンスに協力的
という条件がそろっていたため、保存可能と判断しました。
治療は、前歯をセラミックで補綴するだけでなく、奥歯の咬合調整を行い、前歯への負担を軽減しました。
結果と経過
術後は、審美的な改善だけでなく、かみ合わせの安定により前歯への負担が軽くなった状態が得られました。
治療から3年が経過した時点でも前歯は安定して機能しており、歯肉や周囲骨にも大きな問題は認められていません。
※治療結果や経過には個人差があり、咬合状態・セルフケア・生活習慣によって再破折等のリスクは変動します。
術後の注意点・メンテナンス
前歯の破折は、歯そのものの問題だけでなく、かみ合わせや生活習慣(食いしばり等)が関わることがあります。
• 定期的なメンテナンスの継続
• 噛みしめ・食いしばりの管理(必要に応じて対応)
• 補綴物の状態チェック(欠け・緩みの早期発見)
を行うことで、安定した状態を維持しやすくなります。
治療詳細
| 治療内容 | |
| 治療回数 | |
| 治療費 | |
| リスク副作用 |
監修者情報
この記事は、医療法人 KANEKO DENTAL OFFICE(金子デンタルオフィス) 院長 金子 泰英 が監修しています。
【監修者プロフィール】
- 氏名: 金子 泰英(かねこ やすひで)
- 資格: 日本口腔インプラント学会 指導医・専門医
- 経歴:
- 日本大学歯学部卒業
- 日本大学歯学部 病理学講座 非常勤講師
- インプラント治療実績 28年
- 矯正治療実績 1,000症例以上


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