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オーバーデンチャーの“落とし穴”

2025.08.23

オーバーデンチャーの“落とし穴” ─ 27年の臨床から見える本当のリスク

最近「インプラントをして、もし介護になったら取り外せるオーバーデンチャーにした方が安心では?」という声を耳にします。
確かに一見すると合理的に思えます。入れ歯のように外せる形にしておけば、介護のときに清掃が楽になるのでは、と考えるわけです。

しかし、27年間インプラントと補綴治療に携わってきた経験から申し上げると、「安易にオーバーデンチャーを選ぶのは甘い考え方」 です。実際の臨床では、患者さんが想像していないリスクや負担が多く存在します。


オーバーデンチャーとは?

オーバーデンチャーとは、インプラントや残っている歯の上に“アタッチメント”と呼ばれる特殊な留め具を設置し、それに義歯を固定する仕組みの入れ歯です。

「固定式インプラントと入れ歯の中間」と言える治療法で、取り外しが可能なため清掃性を考えて導入されることもあります。


私が否定的な理由

1. アタッチメント脱離のリスク

オーバーデンチャーはアタッチメントで義歯を支えていますが、この部品は摩耗や破損が起きやすく、外れてしまうことがあります。
最悪の場合、外れた部品を誤って飲み込んでしまう危険もあります。

2. 修理・調整が頻繁に必要

「外せるから便利」と思われがちですが、現実は逆です。
アタッチメントの部品交換や調整が繰り返し必要となり、そのたびに通院が発生します。高齢になると、この負担は大きなものになります。

3. 清掃は必ずしも簡単ではない

「取り外せる=清掃しやすい」と思われがちですが、実際は細かい部品に汚れが溜まりやすく、むしろ管理が難しいケースもあります。介護現場でも扱いが煩雑でトラブルになることがあります。

4. 咬む力が強い方・かみ合わせが難しい方は注意

強い咬合力を持つ方や、咬み合わせが複雑な方は、アタッチメントや義歯に過大な負担をかけます。その結果、破損や不具合が起こりやすく、再治療が繰り返されることになります。こうしたケースでは、特に慎重な設計と管理が必要です。


よくある誤解:「介護になったら便利」

オーバーデンチャーを勧める理由のひとつに「介護になったときに外せる方が良い」というものがあります。
一見もっともらしい理由ですが、私の臨床経験ではむしろ逆です。

  • 義歯を外す・はめる動作は介護者にとっても負担になる

  • 外した義歯の保管や清掃でトラブルが起きやすい

  • 破損や脱離があれば修理に通わなければならない

つまり「介護時に便利」というのは理想論に近く、現実には課題の方が多いのです。


経験から言えること

私は2000本以上のインプラント手術に携わり、オーバーデンチャーの症例も数多く経験してきました。
その中で実感しているのは、「想像以上にトラブルが多い治療法」 だということです。

患者さんは「外せる=安心」と考えがちですが、実際にはアタッチメント脱離・修理・清掃の難しさが生活の質を下げる要因になり得ます。


それでも有効な場合もある

とはいえ、すべてを否定するわけではありません。
設計がしっかりしており、歯科医師と技工士が連携して丁寧に作り上げたオーバーデンチャーは、有効に機能することもあります。

  • インプラントの本数を最小限に抑えたい場合

  • 残っている歯が少なく、固定式にできない場合

  • 義歯の安定性を改善したい場合

こうしたケースでは、オーバーデンチャーは一定の価値を持ちます。ただし、患者さんへの十分な説明と、将来の修理や管理を見据えた計画が不可欠です。


まとめ

オーバーデンチャーは一見便利に見えても、実際には多くのリスクや負担を伴います。

  • アタッチメント脱離による誤飲リスク

  • 頻繁な修理や通院負担

  • 清掃や介護現場での扱いにくさ

  • 咬む力が強い方や咬み合わせが難しい方での破損リスク

👉 「介護になったら便利」という安易な理由だけで選ぶのは危険です。

ただし、設計や症例によっては有効な場合もあるため、慎重に判断し、必ず十分な説明を受けてから選択してください。

27年間の経験から私は、「一見便利そうに見える治療法ほど、長期的なリスクを理解して選んでほしい」と強くお伝えしています。


医院のご案内

当院は宇都宮市で27年間、インプラント・矯正・補綴治療に携わってきました。
オーバーデンチャーの経験も豊富で、実際のメリット・デメリットを患者さんにわかりやすくお伝えしています。

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