「小児矯正」と聞くと、多くの方は「歯並びをきれいに整える治療」と思われるのではないでしょうか。もちろん、見た目を改善することは大切です。しかし、本当に重要なのはそれだけではありません。小児矯正の最大の目的は、成長期に顎の発育を正しく導き、鼻呼吸を確立させることにあります。
私は矯正を経験した歯科医師として、また数多くのお子さんの成長を見てきた立場から、この「成長」と「鼻呼吸」の重要性をお伝えしたいと思います。
成長期は一度しかない
子どもの骨格は、成長期に大きく変化します。特に顎の成長は、顔立ちだけでなく呼吸や姿勢、全身の発育に影響を与えます。
もし顎の成長が不十分で小さくなってしまうと、歯がきれいに並ぶスペースが確保できず、結果として歯並びが乱れてしまいます。このときに「抜歯して並べる」という方法もありますが、根本的な解決にはなりません。大切なのは、成長期に顎を正しく発育させることなのです。
成長期は一度しかありません。その貴重なタイミングを逃してしまうと、大人になってからは矯正だけでは対応できず、抜歯など外科的処置が必要になることもあります。
口呼吸のリスク
もう一つ見落とされがちなのが「呼吸の仕方」です。お子さんが口をポカンと開けている姿を見たことはありませんか?それは口呼吸のサインです。
口呼吸が習慣化すると、次のようなリスクがあります。
脳に十分な酸素が届かず、集中力や学習効率が低下する
口腔内が乾燥し、虫歯や歯周病のリスクが高まる
免疫バランスが乱れ、アトピーやアレルギーの悪化につながる
姿勢が崩れやすく、猫背やスポーツパフォーマンスの低下を招く
一見、歯並びとは無関係に見えるかもしれませんが、実は深く関わっています。顎の成長不足によって鼻の通り道が狭くなり、鼻呼吸がしにくくなる。その結果として口呼吸になるケースが少なくないのです。
鼻呼吸で変わる未来
反対に、鼻呼吸がしっかりできるようになると、子どもの体は大きく変わります。
酸素が十分に行き渡り、集中力・記憶力が向上
鼻のフィルター機能で、アレルギーや風邪の予防につながる
顔の成長が整い、バランスの良い美しい顔立ちに育つ
睡眠の質が改善し、心身ともに健やかに成長できる
実際に、鼻呼吸を習慣化したことでアトピー症状が改善したケースも報告されています。矯正治療は、こうした「全身の健康改善」にもつながるのです。
小児矯正でできること
小児矯正では、成長期に合わせて顎の発育を促し、鼻呼吸ができる環境を整えます。例えば、顎を広げる装置や、筋機能訓練(MFT)を組み合わせることで、歯並びだけでなく呼吸や舌の使い方を改善します。
特に重要なのは、鼻腔を広げて鼻呼吸をさせる環境をつくることです。顎の発育が不十分だと鼻腔が狭くなり、子どもは無意識に口呼吸になってしまいます。矯正によって顎を正しく成長させ、鼻腔のスペースを広げることで、自然に鼻呼吸ができるようになります。これは歯並びの改善以上に、全身の健康と発育に直結する大切なポイントです。
また、近年はマウスピース矯正も普及し、従来よりも負担が少なく自然に歯や顎の位置を整えることが可能になっています。子どもが嫌がらずに取り組める方法を選べるのも大きなメリットです。
保護者へのメッセージ
親御さんにとって、「見た目が気になるから矯正を始める」という動機は自然なことです。しかし、その裏にはもっと大きな意味が隠れています。
矯正は「見た目」だけでなく、将来の健康、学習能力、生活の質を左右する大切な治療です。成長期の今しかできないことを逃さないように、少しでも気になったら早めに相談していただきたいと思います。
ご案内
小児矯正の本当の目的は「歯並びを整える」以上に、成長を正しく導き、鼻腔を広げて鼻呼吸を確立させることにあります。
「うちの子も必要かな?」と少しでも思ったら、まずはお気軽にご相談ください。
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