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静脈内鎮静がインプラット治療の予後に与える影響——当院の研究論文がPubMedに掲載されました

2026.04.09

こんにちは。

このたび、私が取り組んできた研究論文が、世界最大規模の

医学文献データベース「PubMed(パブメド)」に掲載されました。


論文タイトルは、
"Effect of Intravenous Sedation on Dental Implant Therapy Outcomes: A Single-Center Retrospective Cohort Study With Three-Year Follow-Up"
(和訳:静脈内鎮静がインプラント治療の予後に与える影響——

単施設後ろ向きコホート研究・3年間の追跡調査)です。

今日は少し院長個人のことをお話しさせてください。患者さんに日頃支えて

いただいていることへの感謝を込めて、この喜びをここで分かち合いたいと思います。

PubMedとは何か、簡単にご説明します
「PubMed」という名前を初めて聞かれる方も多いかと思います。
PubMedとは、アメリカ国立医学図書館が運営する医学・歯科学・生命科学分野の論文データベースです。世界中の医師・研究者が、最新の医学的知見を調べる際に最も頼りにするデータベースのひとつで、登録されている文献数は3,600万件を超えます。
その PubMed に、私の論文が掲載された——それが今回の報告です。
「世界に向けて発信できた」という感覚は、29年間歯科の臨床に向き合ってきた私にとって、これまでにない達成感をもたらしてくれました。

論文のテーマ:「静脈内鎮静」とインプラント治療
本論文のテーマは、静脈内鎮静(じょうみゃくないちんせい)という麻酔技術と、インプラント治療の予後(治療後の経過)についての研究です。
「静脈内鎮静」とは、点滴から鎮静薬を注入し、意識がある状態を保ちながらも、深いリラックス状態で治療を受けていただく方法です。いわゆる「うとうとしている間に終わった」という状態をつくり出します。


歯科治療への恐怖心が強い方、外科的なインプラント手術に不安を感じる方にとって、この静脈内鎮静は非常に有効な選択肢です。
実は当院では、この静脈内鎮静を15年以上前から導入しています。「怖くて歯科に行けない」という方のために何ができるかを考え続けてきた結果であり、長年の実績と経験の積み重ねが、今回の研究の土台となっています。
さらに当院では、患者さん自身の血液から採取する再生因子「CGF・AFG」をインプラント手術に組み合わせて活用しています。CGF・AFGは自己血液由来のため、アレルギーや拒絶反応のリスクがなく、骨や歯肉の治癒を促進する効果が期待できます。静脈内鎮静との組み合わせにより、「安心・安全・そして回復力の高い」インプラント治療を提供することが、当院の一貫したこだわりです。


今回の研究では、静脈内鎮静を用いてインプラント治療を受けた患者さんと、

そうでない患者さんのデータを分析し、鎮静を使用することがインプラントの長期予後にどのような影響を与えるかを検討しました。


「怖くて治療を受けられなかった方が、静脈内鎮静のおかげで治療に踏み出せた」——そういったケースを診療の中で何度も経験してきた私にとって、この研究は

非常に意義深いものでした。科学的なデータとして、その臨床的価値を

示したかったのです。

約2年にわたる長い研究の道のり
この論文の完成までには、2年近くの歳月がかかりました。
研究とは、決して一直線には進まないものです。データの収集と整理、倫理審査の手続き、統計解析、英語での論文執筆、そして査読者からの指摘への対応

それぞれの工程で壁にぶつかり、何度も書き直し、何度も考え直しました。
日々の診療と並行して研究を進めることは、体力的にも精神的にもタフな作業でした。「本当に掲載されるのだろうか」と自信を失いそうになることも、

正直なかったとは言えません。


それだけに、掲載の知らせを受けたときの喜びは、言葉では言い表せないものがありました。

共同演者の先生方への深い感謝
この論文は、私一人の力で完成したものではありません。
共に研究に取り組んでくださった共同演者の先生方、なかでも村上先生・岡田先生には、研究の根幹に関わるご助言・ご指導をいただきました。データの解釈、論文の構成、英語表現の精査——多くの場面で力をお借りしました。先生のご協力なくしては、この論文は世に出ることはなかったと断言できます。
また、日本インプラント学会をはじめ、研究にご協力いただいたすべての方々にも、改めて深く感謝申し上げます。
研究とは孤独な作業のように見えて、実は多くの人の力に支えられているものだと、今回つくづく実感しました。

患者さんへのメッセージ


「インプラントを勧められたけれど、手術が怖くて踏み出せない」


そのようにお感じの方は、ぜひ一度、静脈内鎮静という選択肢についてご相談

ください。
今回の研究で示したとおり、静脈内鎮静を用いたインプラント治療は、安全に行うことができ、長期的な予後においても良好な結果が期待できます。恐怖心や不安感が、治療を受ける機会を妨げてしまうことを、私は非常にもったいないことだと感じています。
当院では、インプラント手術を静脈内鎮静と組み合わせて行うことが可能です。「怖いから」という理由で諦める前に、まずはカウンセリングにいらしてください。患者さんの不安に寄り添い、最善の選択肢をご提案いたします。

おわりに
29年間、歯科臨床に真摯に向き合ってきた結果のひとつが、今回の論文掲載という形で実を結びました。
これに甘えることなく、これからも「患者さんにとって本当に良い治療とは何か」を問い続けながら、研究と臨床の両輪で歩んでいきたいと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

金子デンタルオフィス
宇都宮市南大通り1-3-8
TEL:028-688-8100
理事著 歯学博士・日本口腔インプラント学会指導医・専門医 金子泰英

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