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私が歯を抜く矯正を行わない理由

開業してからこれまで、多くの矯正患者さんと向き合ってきました。その中で特に目立ったのが、過去に歯を抜いて矯正治療を受けた患者さんの後戻りや、噛み合わせの悪化、さらには顎関節症の症状を訴えるケースです。これらの患者さんの多くは、治療後数年経つと歯並びが再び乱れ、顎の痛みや口を開けづらいといったトラブルに悩まされていました。

このような経験を積むうちに、私は「本当に歯を抜かないと矯正治療はできないのか?」と深く考えるようになりました。結果として、今では歯を抜かずに矯正治療を行うことを基本方針としています。これは単なるこだわりではなく、患者さんの長期的な健康と快適な生活を守るための選択です。

 

歯を抜く矯正のリスク

歯を抜いてスペースを確保する矯正治療は、短期的には効果的に見えるかもしれません。しかし、以下のようなリスクがあることが分かってきました。

 

1. 後戻りが大きい

歯を抜いてスペースを作ると、一時的にきれいに並ぶことがありますが、時間が経つと元の位置に戻ろうとする力が働きやすくなります。その結果、再治療が必要になるケースも少なくありません。

 

2. 噛み合わせの悪化

無理にスペースを作ることで、噛み合わせが不自然になることがあります。これが原因で、食事中の違和感や歯ぎしり、さらには歯の摩耗が進行することもあります。

 

3. 顎関節症のリスク増大

噛み合わせのズレは、顎関節に大きな負担をかけます。その結果、**顎関節症(顎の痛み、開口障害、関節音など)**を引き起こすリスクが高まります。実際に、歯を抜いて矯正した患者さんの中には、治療後に顎の不調を訴える方が多く見受けられました。

 

抜歯を避けるための矯正治療の工夫

これらのリスクを避けるために、私はできる限り自然な成長と発達を活かした矯正治療を行っています。特に小児矯正においては、成長期の子どもたちのポテンシャルを最大限に引き出すことが重要です。

 

1. 成長を活かした早期治療

子どもの骨や筋肉は成長過程にあるため、早期に問題を発見して治療を開始することで、歯を抜かずにスペースを確保することができます。成長の力を利用することで、より自然で安定した歯並びが実現します。

 

2. 鼻呼吸の重要性

小児矯正において特に大切なのが鼻呼吸の習慣づけです。鼻呼吸をすることで、舌が正しい位置に保たれ、上顎の発達が促進されます。これにより、歯が自然に並ぶスペースが確保され、抜歯の必要が減少します。

 

3. 口腔筋機能療法(MFT)の導入

鼻呼吸の定着や舌の正しい使い方を促すために、口腔周囲筋のトレーニングも取り入れています。これにより、口呼吸が改善され、顔面の成長が正常に進むだけでなく、脳への酸素供給も増加し、集中力アップなどの効果も期待できます。

 

4. 拡大装置やマウスピースの活用

必要に応じて、拡大装置を使用して顎の成長をサポートし、スペースを自然に広げる方法を取っています。これにより、歯を抜くことなく理想的な歯並びに近づけることが可能です。

 

5. 私が考案した噛み合わせ調整法「ゴールデンスマイルテクニック」

私の矯正治療における特徴の一つが、顎の成長とバランスを考慮した独自の噛み合わせ調整法、「ゴールデンスマイルテクニック」です。このテクニックは、単に歯を並べるだけでなく、顎の位置と噛み合わせの高さを調整することで、顔全体の調和と健康を促進します。

例えば、受け口(反対咬合)の子どもで噛み合わせが低い場合、その段階で噛み合わせを高く調整することで、顎の前方成長を抑制し、正常な成長方向に導くことができます。この早期介入により、外科的な矯正装置を使わずに済むケースも多く見られます。

ゴールデンスマイルテクニックを用いることで、顎関節への負担を最小限に抑え、顎関節症のリスクを軽減します。また、噛み合わせの高さを適切に調整することで、顔のバランスが整い、自然で美しい笑顔が引き出されるのです。この方法は単なる機能的な改善だけでなく、見た目の美しさと健康を両立するための重要なアプローチです。

 

鼻呼吸がもたらす全身への効果

鼻呼吸は単に歯並びや顎の成長に良い影響を与えるだけではありません。全身の健康にも大きなメリットがあります。

 

脳への酸素供給が向上し、集中力アップ

鼻呼吸を習慣づけることで、脳に十分な酸素が行き渡り、集中力や学習能力が向上します。これは特に子どもの発達において大きな利点です。

 

免疫力の向上

鼻腔内の繊毛が空気中の異物やウイルスをフィルタリングすることで、風邪やアレルギーの予防にもつながります。

 

顔面のバランスが整う

鼻呼吸と正しい舌の位置は、顔全体のバランスを整え、自然な美しい顔立ちの形成にも寄与します。

 

まとめ

開業してからの経験を通じて、私は歯を抜かない矯正治療の重要性を強く実感しています。抜歯による矯正は一時的な解決策に過ぎず、長期的には後戻りや顎関節症といったリスクが伴うことが多いのです。だからこそ、私は自然な成長を活かした矯正治療を提案し、患者さん一人ひとりにとって最良の結果を目指しています。

特にゴールデンスマイルテクニックは、噛み合わせを適切に調整することで、見た目の美しさと機能的な健康の両立を実現します。歯を抜かない矯正は、単なる治療方針ではなく、患者さんの健康と未来を守るための選択です。これからもこの信念を持ち続け、より多くの患者さんに健康で美しい笑顔を届けられるよう努めていきたいと思います。