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神経を取る治療(根管治療)は一回目が肝心です!

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歯の神経を取る「根管治療(こんかんちりょう)」は、むし歯が深く進行してしまった場合に行う重要な治療です。

 

しかしこの治療、実は“最初の一回目”がとても大切なのです。

 

なぜかというと、根管は非常に細く複雑な形をしており、再治療になってしまうと治療器具が届かない・感染が取りきれないといったリスクが大きくなるからです。特に一度治療した根管に“段差(ステップ)”ができてしまったり、石灰化していたりすると、次回以降の治療は非常に困難になります。

 

最初の治療でしっかりと感染を除去し、根の先まで清掃・封鎖できるかが、歯の寿命を大きく左右します。つまり、神経を取る治療は「やり直し」がきかない、大事な“一発勝負”でもあるのです。

 

実際に文献でも、初回の根管治療の成功率は約90%と高いのに対し、再治療の成功率は60%程度と報告されています(Ng et al., 2008)。感染の程度や器具の到達困難、既存の充填材の残存などにより、さらに成功率が下がることもあります。

 

しかし残念ながら、初回の治療がうまくいかなかった場合や、症状が再発してしまった場合には、どうしても再治療が必要になります。その際、器具が届かず根の先に炎症が残ってしまうと、痛みが出たり、根の先に膿がたまってしまうことがあります。

 

こうした場合、外科的な処置(根尖切除)や、やむを得ず抜歯という判断をしなければならないこともあります。私たち歯科医師にとっても「抜歯の宣告」は本当に心苦しい決断です。できることなら、自分の歯をなるべく残してあげたい。そのためにも、最初の根管治療がどれだけ大切か、ぜひ知っておいてほしいのです。

 

皆さんの大切な歯を1本でも多く守るために、症状がなくても早めの受診、そして信頼できる歯科医院での丁寧な初回治療がとても重要です。

 

【参考文献】 Ng Y-L, Mann V, Gulabivala K. Outcome of secondary root canal treatment: a systematic review of the literature. Int Endod J. 2008; 41(12):1026–1046.