2018.06.22
歯科医が教える妊娠中の歯の治療あれこれ
妊娠中の歯科治療
こんにちは。院長の金子です。今回は、「妊娠中の歯科治療」についてQ&A形式でお話しいたします。
よくある質問
Q:妊娠中に歯の治療はできますか?
A:安定期に入れば、治療することは可能です。
Q:妊娠中に、歯の治療のために麻酔をかけることはできますか?
A:同じく安定期に入っていれば麻酔をかけることはできます。
麻酔の種類によっては使えないもの(シタネストオクタプレッシンなど)もあるので、妊婦さんにも使える麻酔を使用します。なお、安定期であっても麻酔をしないでほしいという患者さまがまれにいらっしゃいますが、治療の痛みを我慢することによるストレスのほうが、胎児に悪影響を与えてしまいますので注意が必要です。
Q:鎮痛剤や抗生剤を飲んでも問題ないでしょうか?
A:薬に関しては、必ずかかりつけの産婦人科医と相談の上、安全な薬を選択して服用してください。
Q:妊娠中、歯の治療のためレントゲンを撮ってもよいのでしょうか?
A:安定期に入っていて、防護服を着用すれば撮影しても大丈夫です。
妊娠中は口腔ケアを!
そして歯科医からぜひともお願いしたいのは、「妊娠中は口腔ケアをしっかりしていただきたい」ということです。なぜならば、妊婦さんは虫歯になりやすいからです。
妊娠中は食べ物の好みにも変化があらわれ、甘いものがものすごく食べたくなる方も多いことでしょう。また、妊娠中はどうしてもホルモンバランスが崩れてしまうため、虫歯や歯周病になりやすいです。
つわりでお辛いときもあるかとは思いますが、1日に3回の歯磨き、そしてシュガーコントロールだけでもきちんと行っておくと、健康な口と歯を保つことができます。
以前、当院に妊娠後期の患者さまがお見えになった時の話です。神経のない歯が折れてしまい、歯肉がはれていました。当月出産だったため、治療ができず消毒だけしか手当てすることができません。出産間近で歯が痛むのはとても辛いと思います。出産が無事に終われるよう、妊婦の皆さまはぜひともご自身の口と歯を大切になさってください。
特にプラークコントロールが大切
特に、妊娠中のプラークコントロールは大変重要です。
プラークとは簡単に言えば虫歯や歯周病の原因のひとつとなる細菌のことです。そのプラークを、歯や歯肉に悪影響を及ぼさないようにコントロールすることを、そのまま「プラークコントロール」と呼びます。プラークコントロールを行っておかないと、口の中に細菌が繁殖し、最悪の場合早産や死産の原因になってしまいます。
具体的には、歯ブラシを使った適切な歯磨き、デンタルフロスの使用、洗口剤で仕上げうがいをする、歯科医院での定期的な歯石除去、ひんぱんな間食を控える、食事をよく噛んで唾液をきちんと分泌する、といったことがプラークコントロールにあたります。
元気な赤ちゃんが無事に生まれてくるよう、ぜひ妊婦の皆さんはプラークコントロールにも挑戦してみてください。
今回のポイント
安定期に入っていれば歯の治療はできる
鎮痛剤や抗生剤を飲むときはかかりつけの産婦人科医に相談を
妊婦さんは虫歯になりやすいので口腔ケアをしっかりする
なお、妊娠中に腸の調子を整えるために乳酸菌飲料を勧められることもあるかもしれませんが、歯にはあまりよくない飲み物ですので、口にした際は必ず歯磨きを念入りにすることをオススメします。