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咀嚼能力と誤嚥性肺炎

誤嚥性肺炎とは、食物や唾液が誤って肺に入ってしまい起こってしまう肺炎です。

後期高齢者の肺炎の大半が誤嚥性肺炎だと言われています。

誤嚥性肺炎と咀嚼機能には大きな関係があるのです。

まず噛む機能が衰えること自体が高齢者の飲み込む機能の低下につながり、

誤嚥を引き起こしてしまうということです。

また、咀嚼機能の低下は唾液の分泌の低下につながります。

前述した通り、唾液は、口内を清潔に保つ機能があるので、

分泌が低下すると口内には細菌が発生しやすくなります。

その結果、誤嚥を起こしたときに細菌を含んだ唾液や食物が

肺に侵入して肺炎を起こしてしまうのです。

現在、歯科医療が世界一発展しているスウェーデンでは寝たきり高齢者の方が

少ないと言われており、日本はその3倍も多いとされています。

また日本の80歳で残っている歯の本数は平均8本、

それに比べてスウェーデンではなんと20本も残っているのです。

歯科医による10年以上にわたるブラッシングや定期健診の啓もうと、

歯の健康に対する意識の高まりにより、日本人の歯の本数は年々増えていますが、

まだまだ世界の基準にはたどり着いていないようです。

また定期的に歯科検診やクリーニングを受けている国民の割合は、

日本人が2%、スウェーデンが90%であり、アメリカが80%、

イギリスでは70%と言われており、日本と比較して非常に高い割合になっています。

しかし、これらの国が特別世界的に高い数値というわけではありません。

この比較はいかに日本の国民が歯に気を使わないかを表しています。

歯を失うのは決して年齢のせいだけではありません。

国民の1人1人が歯に対して重要性を理解し、日々の予防を徹底することにより

歯の寿命は確実に延ばすことができるのです。

スウェーデンも、かつては今の日本のように歯を失う人が多かったのですが、

国家として一大プロジェクトを立ち上げ、今では世界で最も歯が残っている国に

成長しました。何を行ったかと言えば、主に国全体で協力し合い、

予防歯科に力を入れたということです。

スウェーデンでは、地域ごとにホームドクターが決まっています。

1年間のうちに1~2回は定期健診、クリーニングを受けないと保険が下りない制度に

なっているので、国民全体が虫歯や歯周病になりづらい環境になっているのです。

これにより国民の歯は年をとっても残るようになり、

健康寿命を延ばすことに成功したのです。

まず国民1人1人、歯の重要性を知り、定期健診、クリーニングなどの予防を率先して

行うことが大切です。

因みに私は20年前にスウェーデンに海外研修に行きました。

その時勉強した予防医学を自分のオフィスで患者さんに伝えていましたが

日本は保険制度があるため、伝えるのが非常に困難でした。

どうしても「歯を悪くしてから歯科医院行く」という習慣が抜けない。

受け入れない方はさっていった人も沢山いましたが

私の考えについてきてくれた患者さんは20年経っても健康です。

今回みたいにこういう事態になった時、激しく差が出るような気がしています。

今は亡き、歯周病の神様ニーマン先生と貴重な写真。