お知らせinformation

骨粗鬆症の薬を飲んでいる方へ

こんにちは。

理事長の金子泰英です。

高齢化が進むとともに薬を飲んでいる人も

増えています。

皆さんは口と体を切り離して考えていますが、

抜歯やインプラントなどする際には

気を付けなければいけません。

今回は骨粗しょう症の薬の影響についてお話します。

以前ある病院で私が順番待ちしてた時の

医師と患者さんとのやり取りが聞こえてきました。

患者:先生、歯科に行ったら抜歯すると言われまして骨粗しょう症の薬飲んでいると

歯科医に言ったらかかりつけのお医者さんに抜歯していいかどうか聞いてきてと

と言われました。抜歯して大丈夫でしょうか?

医師:ちょっと待ってね。今、本で調べるから。。。

   〇〇さん、この本に薬を飲んで3年未満なら

   抜歯するときは薬を止めれば大丈夫だから

   歯科の先生にそう伝えて下さい。

                終了。

皆さん、どう思います?

これは全部間違いです。

まず骨粗しょう症の薬を飲んでいる方は抜歯した後に

骨壊死(骨が腐る)を起こす可能性が高くなるのを

知っておいてください。

そして抜歯するのは歯科医なので医師に判断を委ねるのは

歯科医が勉強不足としか言いようがないです。

患者を挟まず医師同士で連携をとらないといけません。

薬を止める止めないより重要なことは

抜歯前に口の中をきれいにする、すなわち歯周病菌をなくしてから

抜歯することが重要です。このことは口腔外科学会の

ガイドラインに書いてあります。一部抜粋します。

1) 侵襲的歯科治療前のBP休薬 骨吸収抑制薬の治療を受けている
患者に対して歯科治療を行う際に骨吸収抑制薬投与をそのまま継続するか、
あるいは休薬するかについては様々な議論がある。

それらを整理すると、

① 骨吸収抑制薬の休薬がONJ発生を予防するか否かは不明である。

② 骨に長期間残留するBPの物理化学的性質 から推測すると、
  短期間のBP休薬がBRONJ発生予防に効果を 示すか否かは不明である。

③ 日本骨粗鬆症学会が行った調査結果では、骨粗鬆症患者において
  BPを予防的に休薬してもONJ発生の減少 は認められていない。

④ BPの休薬により骨粗鬆症患者での症状悪化、
  骨密度低下および骨折の発生が増加する。

⑤ 発生頻度に基づいた場合にBRONJ発生のリスクよりも
  骨折予防のベネフィット(有益な効果)がまさってい る。

⑥ BRONJ発生は感染が引き金となっており、
  歯科治療前に感染予防を十分に行えばBRONJ発生は減少すると の
  結果が示されている。この報告で注目されるのは、
  口腔の他の部位に以前にBRONJが
  発生したことがあり、
   ONJ発生のリスクがきわめて高いがん患者においても、
  感染を予防すれば新たなBRONJは発生しなかったと いう結果である。
  したがってBRONJ発生予防には感染予防がきわめて効果的、
  重要であることが示唆される。

⑦ 米国歯科医師会は、骨粗鬆症患者におけるARONJの発生頻度は最大に
  見積もっても0.1%程度であり、
  骨吸 収抑制薬治療による骨折予防のベネフィット(有益な効果)は、
  ARONJ発生のリスクを上回っており、
  また 骨吸収抑制薬の休薬はARONJ発生リスクを減少させる可能性は少なく、
  むしろ骨折リスクを高め負の効果を
  もたらすとの見解を示している。

何度も言いますが骨壊死のリスクを下げるのは
口の中をきれいにするということです。
薬に関しては他の薬でもリスクはありますので歯の治療をはじめるとき、
また歯の治療中、薬が変わった時はかかりつけ歯科医に伝えて下さいね。

追伸 私は骨粗鬆症の薬を飲んでいる人には筋トレを進めています。