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自費で行うメインテナンスの意味

今回は『自費で行うメインテナンスの意味』について書いていますので、ぜひ拝読して下さい。歯科治療では保険の範囲でできる治療と自費で行う治療がありますが、歯のクリーニングにも保険で行えるものと自費で行えるものがあります。まず決定的に違うことは、保険は治療が目的であること、自費は予防が目的であることです。

保険のメインテナンスでは、病気に対して国が定めた保険内の治療が可能です。そのため治療を目的に歯石取り(スケーリング)が行われます。レントゲン撮影や歯肉の深さを調べる検査(ポケット検査)を行い歯周病や歯周炎が認められた場合に限り保険が適用されクリーニング治療を受診できます。

一方で自費のクリーニングでは、保険の制限を一切受けず医院が定めた最善最適な治療を提供することが可能なため予防を目的としたメインテナンスを行うことができます。歯科医院によってさまざまな種類が用意されており、希望があればどなたでも受診できます。自費のクリーニングの治療内容に制限はありませんので、歯石やプラークの除去に加え、歯の表面の着色を落とす効果のあるクリーニングや歯周病に特化した歯肉への除菌クリーニングなど様々です。

より質の高いクリーニングを希望する方には、自費のクリーニングをおすすめします。そこで完全自由診療の当院でのメインテナンスの紹介を致します。

【エアフロ―クリーニング】

エアフロ―クリーニング

当院では初めにエアフロ―クリーニングを行います。上記の画像の機械を使っていきます。

エアフロ―とはジェットクリーニングとも呼ばれ超微粒子のパウダーを専用の機械で歯の表面にかけ掃除することです。ブラッシングで落とすことができなかった汚れ(プラーク)、ヤニや茶渋(ステイン)の着色汚れ、虫歯や歯周病の原因となる細菌の汚れ(バイオフィルム)を取り除きます。

プラークやバイオフィルムの主な原因は食べかすであり、歯磨きで落とせなかった部分は時間の経過により歯石となります。またバイオフィルムは歯磨きなどでは簡単には落とせません。

そのためエアフロ―という専用の機器を使用し自身の歯磨きでは落とすことができない汚れを歯や歯肉にダメージを与えることなく落とします。

~エアフロ―クリーニングのメリット~

①短時間で汚れを取り除くことができる。

専用の機器で高圧洗浄機のように広範囲に勢いよくジェット噴射しパウダー粒子を吹きかけるため短時間で素早く汚れを落とすことができます。

②質の高い清掃効果が得られる

エアフロ―は歯の表面だけでなく歯周ポケット内に入り込んだ歯周病の細菌の除去効果が高いと言われています。

③歯や被せ物へのダメージが少ない

歯石取りなどでよく目にするスケーラーという機械では歯を傷つける場合があります。エアフロ―では器具を直接触れさせないほか、パウダーも非常に細かいため歯や被せ物にダメージを与えることなく傷つける心配もありません。

また、超微粒子パウダーにより歯の表面がツルツルとなります。

【次亜塩素酸水によるイリゲーション】

イリゲーション機械

2つ目にイリゲーションを行います。上記の画像の機械を使用します。

イリゲーションとは歯ブラシでは行き届かない歯周ポケットの中を超音波の機械で除菌水を使い洗浄する治療のことです。当院では15年以上前から使用し最も細菌除去に効果的とされている次亜塩素酸水を使用し歯周病予防を行なっております。

次亜塩素酸水とはタンパク質分解型除菌水のことで、安全性に着目し人体への影響を最小限に抑え、歯周病菌や虫歯菌を殺菌する効果のある歯科治療水です。効果としてバイオフィルムを破壊し、口腔内の細菌の数を減らします。治療時に使用する次亜塩素酸水は1000ppmの濃度を使用します。血液中の白血球と同じ殺菌成分が含まれているため小さな子供から高齢者の方まで安全に使用することが可能です。

またインプラント治療をした方には特に定期的にイリゲーションをしています。理由としてインプラント(人工歯)は天然歯よりも細菌感染のリスクが高いため定期的にケアをすることでインプラント歯周炎の予防や早期発見へ繋がりインプラントの寿命を延ばすことが可能となるからです。

そのため当院では次亜塩素酸水でのイリゲーションを大切としています。

~イリゲーションのメリット~

①プラークや食物の食べかすを取り除く

歯ブラシやフロスなどのセルフケアで取り除くことが困難な歯垢や食べかすをイリゲーションの専用の機械で水流により取り除くことが可能です。

②歯周病の予防・改善

歯周ポケット内に専用の器具を入れ除菌水を注入することにより歯肉内のケアができ歯周病の予防へと繋がります。

③口臭予防

歯垢や食べかすなどの汚れを取り除くことで、口臭の原因をとなる匂いを予防することができます。

【PMTC】

仕上げにはPMTCを行います。PMTCとは、
「P」→プロフェッショナル(歯科医師・歯科衛生士)
「M」→メカニカル(機械的な)
「T」→トゥース(歯の)
「C」→クリーニング
の省略した言葉です。

PMTCでは通常研磨剤やフッ素などが含まれた歯みがき粉を使用し、5000~10000回転する専用の機械とブラシを使い電動歯ブラシのように歯の表面を磨いていきます。

歯の表面についたバイオフィルムを剥がしツルツルとした表面に仕上げることで新たな汚れや細菌をつきにくくする他、元々の歯の白さを取り戻すことができます。

当院で使用している歯みがき粉は「リナメル トリートメントペースト」という商品を使用し仕上げに歯の表面を磨いていきます。このペーストはナノ粒子ハイドロキシアパタイトという成分が配合されており、この成分の作用により歯の表面の細かい傷を修復しツルツルとした歯にすることで茶渋(ステイン)や汚れ(プラーク)を付きにくくします。さらに再石灰化といって脱灰によって溶け出したカルシウムやリン酸が再び歯に取り込まれ、歯が元に戻るようになるための成分も含まれています。また研磨剤が一切入っていないため歯のエナメル質を傷つけることなく歯に優しいペーストとなっているため長年使用しています。

これらの3つの種類のメインテナンスを全て行うことで健康な口腔内を保つことができます。エアフロ―クリーニングとPMTCでは歯の表面、イリゲーションでは歯周ポケットのケアといったようにそれぞれに役割があります。例えば歯の表面だけのケアをしていても歯周ポケット内の予防をしていなければ歯周病予防にはなっていません。健康な口腔内を常に保つには定期的な3つのメインテナンスが大切です。

さらに当院ではセルフケアにも力を入れています。
歯科医院での定期的なメインテナンスは大切ですが、1番の予防方法は日頃のセルフケアです。
ブラッシングの指導により、正しい歯磨きのやり方を患者様に伝えています。どうしても自己流になりやすかったり、サボり気味になってしまったりすることもあるので定期的に指導しています。

POICウォーター

また次亜塩素酸水の濃度が低い500ppmの物をうがい薬とし、歯磨きの後や外出から帰宅後などにうがいをして頂くことを推奨しています。次亜塩素酸水では弱アルカリ性でできているため、酸性とは違い歯を溶かす心配もありません。

【終わりに】

歯周病イラスト

口は食べ物を入れたりウイルスなどの入り口になっているように歯周病菌が口腔内に存在することで全身に回り影響を及ぼします。死因率で最も高い誤嚥性肺炎や脳梗塞などの病気の原因でもあると言われております。特に全身疾患(糖尿病、菌血症、心臓病)を持っている方は感染しやすいリスクがあります。このように全身の健康を考えた時に歯周病の予防はとても大切です。保険では予防治療はできません。しかし歯周病になってしまってからの治療では手遅れな場合もあります。そのために定期的な自費メインテナンスと日頃のセルフケアで歯周病予防することはとても大切です。保険はあくまで治療が目的のため、常に口腔内を健康で維持するには自費メインテナンスを受診し予防をすることが大切です。